働くことがつらくなったとき──頑張れない自分を責める前に知ってほしいこと
仕事がつらいのは、あなたが弱いからではありません
朝、目が覚めた瞬間から仕事のことを考えてしまう。
会社へ向かう足が重い。
以前は楽しくできていた仕事なのに、今は何をするにも気力が湧かない。
そんな毎日が続くと、自分は頑張りが足りないのではないか、自分は仕事に向いていないのではないかと思ってしまう方が少なくありません。
特に責任感が強く、真面目な方ほど、自分を責める気持ちが大きくなります。
しかし、働くことがつらくなる背景には、心だけではなく脳の働きや、自分が無意識に大切にしている行動パターンが関係していることがあります。
今回は、U-LaLaのカウンセリングに来られたGさんの事例をご紹介します。
同じような悩みを抱えている方の心が少しでも軽くなれば幸いです。
相談者事例
Gさんは40代の会社員です。
真面目で責任感が強く、思い立ったらすぐに行動へ移せる方でした。
職場では、もっと良くなる方法を思いつくと、自分から提案し、率先して行動してきました。
周囲の人のためにもなると思い、一生懸命に取り組んでいました。
ところが、ある頃から職場でこんな言葉を耳にするようになります。
相談する前に決めてしまう。
話についていけない。
もう少しみんなで考えたかった。
Gさんには、決して周りを置いていこうという気持ちはありませんでした。
仕事を良くしたい。
みんなが働きやすくなればいい。
そんな思いだけでした。
それでも、少しずつ周囲との距離ができ、一人で仕事を進める場面が増えていきました。
以前は相談されていたのに、いつの間にか声を掛けられなくなった。
会議でも発言が少なくなり、職場にいても孤独を感じるようになりました。
帰宅しても仕事のことが頭から離れません。
朝になると会社へ行くことが苦しくなり、休日も心から休めなくなっていったそうです。
それでもGさんは、自分がもっと頑張れば解決すると思い込み、一人で抱え続けていました。
心理学から見る働くことがつらくなる理由
心理学では、人は強い責任感を持つほど、自分自身への期待も高くなると言われています。
できて当たり前。
失敗してはいけない。
周りを引っ張らなければならない。
そんな思い込みが続くと、失敗や人間関係のすれ違いを必要以上に自分の責任として受け止めてしまいます。
すると、自分を責める気持ちが少しずつ積み重なり、心の余裕が失われていきます。
本当は休むことが必要な状態でも、もっと頑張らなければと自分を追い込んでしまうのです。
脳科学から見る心の変化
私たちの脳には、それぞれ役割があります。
前頭前野は考えたり判断したりする働きを担っています。
強いストレスが続くと、この働きが低下し、集中できない、決断できないと感じやすくなります。
一方で、扁桃体は危険を察知する役割があります。
疲労やストレスが続くと扁桃体が敏感になり、何気ない会話でも責められているように感じたり、失敗への不安が強くなったりします。
さらに、海馬は記憶を整理する働きをしていますが、慢性的なストレスは海馬にも影響し、
物忘れや考えがまとまらない状態につながることがあります。
つまり、頑張れなくなったのではありません。
脳が疲れ、本来の力を発揮しにくくなっている状態なのです。
声紋分析から見えたGさんの特徴
Gさんの声紋分析では、行動基準は自分軸でした。
自分軸とは、自分が納得できることや、自分がやりたいと感じたことに大きな力を発揮する行動基準です。
決断が早く、行動力があり、新しいことへ挑戦する力があります。
この特徴は、仕事では大きな強みになります。
一方で、自分の中では十分に考えたつもりでも、その考えを周囲へ伝える時間が少なくなることがあります。
すると、周囲は置いていかれたように感じ、気持ちのすれ違いが生まれることがあります。
また、Gさんの判断基準は体感覚でした。
体感覚を大切にする方は、自分の実感や感覚を大事にしながら判断します。
これは素早い行動につながる強みでもあります。
しかし、自分では自然な判断であっても、その理由を言葉にする前に行動へ移ることがあるため、
周囲には説明不足と受け取られることがあります。
Gさんが孤立してしまった原因は、自分軸だからではありません。
自分軸という強みを活かしながら、周囲が考える時間や意見を伝えられる時間をつくることが少なくなっていたことが、
人間関係のすれ違いにつながっていました。
自分軸は変えるものではありません。
その強みを理解し、相手と共有する時間を少し増やすことで、行動力は周囲を巻き込む力へと変わっていきます。
疲れセルフチェックリスト
次の項目に、いくつ当てはまりますか。
□ 朝起きると仕事のことが頭に浮かぶ。
□ 職場へ向かう足が重い。
□ 一人で仕事を抱え込むことが多い。
□ 周りに相談するより、自分でやった方が早いと思う。
□ 人と話すことが以前より少なくなった。
□ 頑張っているのに評価されていないと感じる。
□ 家に帰っても仕事のことが頭から離れない。
□ 最近、笑うことが減った。
3つ以上当てはまった方は、心も脳も少し疲れがたまっているサインかもしれません。
まずは自分を責めるのではなく、「疲れているんだな」と気づくことが回復への第一歩です。
今日からできるセルフケア
① U-LaLa446呼吸法
やり方
・背筋を軽く伸ばします。
・鼻から4秒かけて息を吸います。
・4秒止めます。
・口から6秒かけてゆっくり吐きます。
・これを5分ほど続けます。
効果
呼吸がゆっくりになることで体の緊張が和らぎ、落ち着きを取り戻しやすくなります。
備考(エビデンス)
片岡ら「腹式呼吸と自然呼吸の相違による自律神経系への影響」(2005年、日本保健医療行動科学会誌)では、ゆっくりした腹式呼吸が副交感神経活動を高めることが報告されています。
② U-LaLa 小さな成功メモ
やり方
・寝る前に今日できたことを3つ書きます。
・どんな小さなことでも構いません。
・できた理由も一言添えます。
効果
できていることに目を向ける習慣がつき、自分を責める気持ちが少しずつ和らいでいきます。
備考(エビデンス)
島井哲志「ポジティブ心理学の展開」(2010年)では、日々の良かったことを書き出すことが幸福感の向上や抑うつ感の軽減につながることが紹介されています。
③ U-LaLa サンウォーク
やり方
・朝から午前中に20〜30分歩きます。
・できれば公園や緑のある道を選びます。
・景色や風を感じながら歩いてみましょう。
効果
生活リズムが整いやすくなり、気分転換にもつながります。
備考(エビデンス)
宮岡等「うつ病の運動療法ガイドライン」(日本うつ病学会誌、2012年)では、ウォーキングなどの有酸素運動が気分の改善に役立つことがまとめられています。
クライエントさんの声
最初は、自分が悪いと思っていました。
みんなが離れていったのは、自分の性格に問題があるからだと思っていました。
カウンセリングで話を聞いてもらう中で、自分は仕事を良くしたいという思いが強く、人より少し早く行動してしまう傾向があることを知りました。
声紋分析では、自分は自分軸で行動し、体感覚を大切にしながら判断する特徴があると教えていただきました。
今まで当たり前だと思っていた行動が、自分の特徴だったことに驚きました。
そして、それは悪いことではなく、強みでもあることを知りました。
その後は、何かを始める前に、一度みんなへ話す時間を作るようにしました。
どう思いますか。
一緒に考えてもらえますか。
そんな一言を添えるようになっただけで、周りの反応が少しずつ変わってきました。
以前より相談されることも増え、職場で一人ぼっちだと感じることも少なくなりました。
何より、自分を責め続けなくなったことが一番大きな変化でした。
今は、全部を一人で背負わなくてもいいと思えるようになっています。
働くことは、頑張り続けることではなく、周りと力を合わせながら続けていくものなのだと感じています。
カウンセラー視点
働くことがつらくなる理由は、一つではありません。
仕事量や人間関係だけではなく、自分の行動の特徴と職場とのバランスが影響していることもあります。
Gさんは、自分軸という大きな強みを持っていました。
だからこそ、人より早く動き、人より先に答えを見つけられる力があります。
しかし、その強みを一人で発揮し続けると、周囲との距離が生まれてしまうことがあります。
大切なのは、自分を変えることではありません。
自分の特徴を知り、その強みを周囲と共有できる形へ整えていくことです。
それだけで、人間関係は少しずつ変わり始めます。
まとめ
働くことがつらくなるのは、頑張りが足りないからではありません。
一生懸命に働いてきたからこそ、心も脳も疲れ、自分の強みがうまく伝わらなくなっていることがあります。
声紋分析は、あなたを評価するものではありません。
自分らしい行動や判断の特徴を知り、より楽に働くためのヒントを見つけるためのものです。
もし今、仕事が苦しいと感じているなら、一人で抱え込まないでください。
あなたには、まだ気づいていない強みがあります。
その強みを活かせる方法は、きっと見つかります。
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自分の強みや人との関わり方を理解することで、仕事や人間関係が少し楽になるきっかけが見つかるかもしれません。
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