性別違和は「治すもの」なの? 相談できる人がいることの安心感
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自己肯定感・生き方の迷い
「誰かに話したい。でも、話したらどう思われるだろう」
性別に違和感を感じていても、それを身近な人に話すのは、とても勇気がいることがあります。
「変に思われないかな」
「否定されたらどうしよう」
「家族との関係が変わったら怖い」
「職場には絶対に知られたくない」
そう考えて、何年も一人で抱えている方もいます。
けれど、本当につらいのは、性別への違和感だけではないのかもしれません。
「この気持ちを誰にも話せない」
その孤独が、心をさらに苦しくさせていることもあります。
今回は、Lさんのお話を通して、性別違和とカウンセリングについて考えてみたいと思います。
「自分がおかしいのかな」と思っていたLさん
Lさんは、長い間、自分の性別について違和感を抱えていました。
でも、それを人に話すことはほとんどありませんでした。
周囲から見れば、普通に仕事をして、普通に人と付き合っているように見えます。
けれど、心の中では、
「どうして自分はこうなんだろう」
「こんなことを考える自分がおかしいのかな」
「このままずっと誰にも言えないのかな」
そんな思いが繰り返されていました。
誰かに話したい気持ちはあります。
でも、話すことによって傷つくのが怖い。
そのため、つらくなっても自分の中で何とか処理しようとしていました。
「相談できない状態」は、思っている以上に疲れます
人は不安を感じると、脳の「扁桃体」という部分が危険を察知する働きに関わります。
たとえば、
「知られたらどうしよう」
「否定されたらどうしよう」
「嫌われるかもしれない」
そんな心配が続けば、実際には何も起きていない時間でも、心と体は警戒しやすくなります。
一方、考えを整理したり、状況を判断したりするときには「前頭前野」が重要な役割をしています。
強いストレスが続いていると、考えが堂々巡りになったり、小さなことまで心配になったりすることがあります。
これは単純に「心が弱いから」という話ではありません。
ずっと一人で警戒しながら生活していれば、疲れてしまうのは不思議なことではないのです。
「相談できる人がいる」だけで違う
カウンセリングというと、
「問題を解決してもらう場所」
と思う方がいるかもしれません。
でも、必ずしもすぐに答えを出す必要はありません。
Lさんの場合も、最初から、
「これからどう生きるのか」
「自分の性別をどう考えるのか」
という結論を出そうとしたわけではありませんでした。
まず大切にしたのは、安心して話せることでした。
うまく説明できなくてもいい。
途中で話が変わってもいい。
「自分でもよく分からない」と言ってもいい。
その気持ちを否定せずに受け止めてもらえる。
それだけでも、
「もう全部を一人で抱えなくてもいいんだ」
という安心につながることがあります。
カウンセリングは「性別を決めてもらう場所」ではありません
ここは、とても大切なところです。
性別違和があるからといって、カウンセラーが、
「あなたは男性です」
「あなたは女性です」
「あなたはこう生きるべきです」
と決めるものではありません。
性別への違和感そのものを「治すべき問題」と決めつけることもしません。
大切なのは、
「私は何がつらいんだろう」
「どんなときに自分らしく感じるんだろう」
「どう扱われると苦しいんだろう」
「これから、どんなふうに生きたいんだろう」
ということを、自分のペースで整理していくことです。
答えを出す場所ではなく、答えを探している自分も安心していられる場所。
カウンセリングには、そんな役割もあります。
声紋分析も「自分を知るきっかけ」のひとつ
U-LaLaでは、カウンセリングの補助として声紋分析を取り入れています。
ただし、声紋分析によって性自認や性別違和を医学的に診断することはできません。
性別を判定するために行うものでもありません。
声から表れる傾向を手がかりの一つとして、自分が何を大切にしやすいのか、どのような判断や行動をしやすいのかを整理するために活用します。
たとえば、
「周りの期待を優先しすぎていなかっただろうか」
「本当はつらいのに、我慢することに慣れていなかっただろうか」
「自分の気持ちより、“こうあるべき”を大切にしていなかっただろうか」
そんなことに気づくきっかけになる場合があります。
分析結果が「あなたはこういう人」と決めるのではありません。
自分の気持ちについて話すための、一つの入り口です。
Lさんが感じた「一人じゃない」という安心
カウンセリングを通して、Lさんにすぐ大きな答えが見つかったわけではありません。
性別についての悩みが、ある日突然すべて消えたわけでもありません。
でも、一つ大きく変わったことがありました。
それは、「何かあったら、ここで話せる」
と思えるようになったことです。
これまでLさんは、苦しくなるたびに自分一人で考えていました。
けれど今は、
「また苦しくなったら相談できる」
「分からなくなったら一緒に整理してもらえる」
そう思える場所があります。
相談するということは、誰かに人生を決めてもらうことではありません。
自分の人生を自分で考えるために、一人にならなくていいということです。
その安心感が、次の一歩を考える余裕につながることがあります。
今日からできる「自分への相談」
まだ誰かに話す勇気が出ない方は、まず自分自身の気持ちを書いてみても構いません。
「今日、何がつらかった?」
「どんなときにホッとした?」
「本当は、どうしてほしかった?」
この3つを、スマートフォンやノートに短く書いてみてください。
答えを出す必要はありません。
「分からない」でも大丈夫です。
気持ちを言葉にするだけでも、自分の中にあるものを整理するきっかけになります。
そして、一人では苦しいと感じたときには、信頼できる人や専門家に話すという選択肢も思い出してください。
「治す」ためではなく、一人で抱えないために
性別に違和感があると、
「どうすれば普通になれるんだろう」
と考えてしまう方がいます。
でも、カウンセリングは「普通」に戻すための場所ではありません。
あなたの感じていることを否定せず、
「何がつらいのか」
「何を大切にしたいのか」
「これからどうしたいのか」
を一緒に整理していく場所です。
今すぐ答えが出なくてもいい。
自分のことを、まだうまく説明できなくてもいい。
「話しても大丈夫な人がいる」
そう思えるだけで、心の重さが少し変わることがあります。
相談することは、弱さではありません。
自分の気持ちを大切に扱うための、一つの方法です。
あなたがずっと一人で抱えてきたことなら、最初の相談では、きれいに説明できなくても大丈夫です。
「うまく言えないけれど、ずっと苦しかった」
そこから始めてもいいのです。
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