職場復帰してなぜ同じ環境に戻ると、また苦しくなるのか? 脳の記憶回路が起こす再発のしくみ
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休職をして、ゆっくり体を休めた。
心療内科の先生も、そろそろ復帰しても大丈夫だと思いますと判断してくれた。
それなのに。
職場復帰して同じ場所に戻った瞬間、胸が重くなる。
会社の建物を見るだけで体が緊張する。
頭では大丈夫だと分かっているのに、
体がついてこない。
なぜこんなことが起きるのだろう。
また同じ状態に戻ってしまうのではないか。
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこれは、あなたの弱さではありません。
脳が持っている記憶のしくみが関係しています。
今日は、職場復帰したときに起こりやすいこの反応について、
心理学と脳科学の視点からやさしく解説します。
そして最後に、再び苦しくならないためのヒントもお伝えします。
◾️相談者事例
Lさんは40代の事務職の男性です。
数か月前、職場の人間関係のストレスが重なり、体調を崩してしまいました。
夜になると仕事のことが頭から離れず、眠れない日も続きました。
朝になると体が重く、会社へ向かう電車の中で胸が苦しくなる。
そんな状態が続いたため、心療内科を受診しました。
診察の結果、しばらく休養が必要とのことで、Lさんは休職することになりました。
休職してからは、まず体を休めることを優先しました。
散歩をしたり、少しずつ生活リズムを整えたりするうちに、体調は少しずつ回復していきました。
そして数か月後の診察の日。
体調も安定してきていますね。
そろそろ職場復帰を考えてもよいと思います。
そう先生に言われたとき、Lさんはほっとしました。
もう大丈夫なのかもしれない。
そう感じたからです。
そして迎えた職場復帰の日。
会社の建物に近づくにつれて、胸がざわざわし始めました。
入口を通った瞬間、体が固まったような感覚になります。
会議室に入ると、以前つらかった出来事が一気によみがえりました。
頭では大丈夫だと分かっている。
でも体が緊張してしまう。
Lさんはこう話していました。
休職して回復したと思っていました。
先生も復帰できると言ってくれたのに、また苦しくなるなんて。
自分は弱いのではないかと感じてしまいました。
◾️心理学解説
このような反応は、心理学ではとても自然な現象と考えられています。
人の心は、出来事と感情をセットで覚える特徴があります。
たとえば
・この場所で強いストレスを感じた
・この会議でつらい思いをした
・この人と話すと緊張した
こうした経験が重なると、環境そのものが記憶のスイッチになります。
つまり
会社の建物
会議室
通勤の電車
こうした環境を見るだけで、
体が過去の感情を思い出してしまうのです。
これは決して特別なことではありません。
人の脳は、危険を避けるためにこの仕組みを持っています。
過去に苦しい体験をした場所では、
体が自然と警戒するようになるのです。
◾️脳科学解説
この反応には、脳の3つの重要な部分が関係しています。
・海馬:記憶を保存する場所です。出来事と環境をセットで覚える働きをします。
・扁桃体:危険を察知する警報装置のような役割があります。不安や恐怖の感情を生み出します。
・前頭前野:冷静に考え、状況を判断する場所です。職場で強いストレスを経験すると、海馬はその場所を強く記憶します。
そして同じ環境に戻ると、扁桃体がすぐに反応します。
また危険かもしれない。
そう脳が判断するのです。
このとき、前頭前野が落ち着いて判断できる状態であれば、
もう大丈夫だと体に伝えることができます。
しかし職場復帰の直後は、まだ体も心も緊張しやすい状態です。
そのため
同じ環境
↓
扁桃体が警戒
↓
体が緊張
という流れが起こりやすくなります。
つまり、これは回復が足りないわけではなく、
脳の記憶回路が働いているだけなのです。
◾️声紋分析から見る傾向
声紋分析では、人がどのような感覚で物事を判断し、どの方向に行動しやすいかが見えてきます。
・判断基準:聴感覚 → イエローからターコイズ → 250Hzから2kHz → 対話・協調・共感
この感覚が強い人は、人の言葉や雰囲気を敏感に感じ取ります。
相手の気持ちを理解しようとする優しさがあります。
一方で、人間関係の緊張や空気の変化にも敏感になりやすい傾向があります。
・行動基準:相手軸 → ターコイズ → 相手のために行動
この傾向が強い人は、周囲のために頑張りすぎることがあります。
その結果
無理をする
↓
疲れに気づきにくい
↓
限界まで頑張る
というパターンが起きることがあります。
もしあなたにも似た傾向があるなら、
それは性格の問題ではありません。
行動のパターンを少し整えることで、
心の負担は大きく変わることがあります。
◾️セルフケアの提案
🟡U-LaLa446 呼吸法
やり方:
1.背筋を伸ばして座る。
2.鼻から4秒吸う。
3.4秒息を止める。
4.口から6秒吐く。
5.これを5分ほど繰り返す。
効果:
自律神経のバランスが整い、扁桃体の興奮が落ち着きやすくなります。
不安や緊張がやわらぎ、体が安全だと感じやすくなります。
備考(エビデンス):
腹式呼吸と自然呼吸の相違による自律神経系への影響(片岡ら,2005,日本保健医療行動科学会誌)
ゆっくりした腹式呼吸が副交感神経活動を高めることを報告。
🟡思考の交通整理メモ
やり方:
1.紙に4つの欄を書く。
2.事実
3.考えたこと
4.感じたこと
5.これからしたいこと
効果:
頭の中で渋滞している思考を整理し、前頭前野が働きやすくなります。
備考(エビデンス):日記・ジャーナリング研究(仏教大学アーカイブ、ResearchMap)
出来事や感情を書き出すことでストレス軽減や自己理解が深まることが報告されています。
◾️クライエントさんの声
職場復帰の日が近づくほど、胸の奥が落ち着かなくなりました。
休職中は体調も良くなり、心療内科の先生からも復帰して大丈夫だと思いますと言われていました。
だから、自分でももう大丈夫だと思っていたのです。
ところが会社の建物に入った瞬間、体が固まったように感じました。
以前つらかった出来事が頭に浮かび、また同じことが起きるのではないかと不安になりました。
自分はまだ回復していないのではないか。
弱いのではないか。
そんな思いもありました。
カウンセリングの中で、脳の仕組みを説明してもらいました。
海馬が環境を覚え、扁桃体が警戒し、前頭前野が判断を整える。
それを聞いたとき、自分の反応には理由があるのだと少し安心しました。
呼吸を整えることや、考えを書き出すことを続けていくうちに、
会社へ向かう朝の緊張が少しずつ変わってきました。
最初は強い不安でしたが、今は落ち着いて仕事ができる時間も増えています。
まだ完全ではありません。
でも、自分の状態を理解しながら進めば大丈夫だと思えるようになりました。
◾️カウンセラー視点
職場復帰後に環境で反応が戻ることはとても自然なことです。
まずは呼吸や思考整理など、体と脳を落ち着かせる習慣を整えていきます。
Lさんは数週間後、出社前に呼吸を整える習慣をつくりました。
すると緊張は残りながらも、落ち着いて仕事を進められる日が少しずつ増えていきました。
最近はこんな言葉も聞かれます。
以前より、自分の状態が分かるようになった気がします。
◾️まとめ
休職をして体調が回復し、
医師も職場復帰を判断してくれた。
それでも同じ環境に戻ったとき、
体が反応してしまうことがあります。
それは失敗でも弱さでもありません。
脳の記憶回路が働いているだけなのです。
海馬が環境を覚え、扁桃体が警戒し、前頭前野が判断を整える
この構造を知ることで、
不安の意味は少し変わります。
大切なのは、自分のパターンを知ることです。
構造を知ることは、再び苦しくなることを予防する力になります。
もし今、同じ悩みを感じているなら。
あなたのパターンを一緒に見てみませんか。
◾️U-LaLa カウンセリング案内
・U-LaLa(うらら)では、心理学・脳科学・声紋分析を組み合わせたやさしいカウンセリングを提供しています。
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