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「私は男性なのかもしれない」

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自己肯定感・生き方の迷い

女性に惹かれる気持ちから、自分の性別に迷ったJさん

「男性には、あまり興味がないんです」

「でも、素敵な女性を見るとドキドキします」

「だから、自分は男性なのかもしれないと思うようになりました」

そう話してくださったのは、女性として生活してきたJさんです。

誰かを好きになる気持ちは、本来とても自然なものです。

けれど、その気持ちをきっかけに、

「では、私は何者なのだろう?」

と自分自身が分からなくなることがあります。

Jさんも、自分なりにたくさん調べました。

精神科にも相談しました。

そして、男性らしい身体に近づくためのホルモン療法があることも知りました。

けれど、調べれば調べるほど、気持ちは簡単には整理できませんでした。

そんなJさんがカウンセリングで話してみたことで、少しずつ気づいていったことがあります。

今回は、そのお話をご紹介します。


素敵な女性を見ると、なぜかドキドキする

Jさんには、以前から気になることがありました。

男性を見ても、恋愛的な興味をあまり感じません。

ところが、素敵な女性を見ると違いました。

「きれいだな」

「素敵だな」

そう思うだけではありません。

胸がドキドキすることがありました。

最初は、それほど深く考えていなかったそうです。

でも、同じような経験が重なるにつれて、疑問が生まれました。

「どうして私は、女性にドキドキするんだろう?」

そして、その疑問はやがて、

「もしかしたら、私は男性なのかもしれない」

という思いにつながっていきました。


「女性を好きになるなら、私は男性なの?」

私たちは知らないうちに、

「男性は女性を好きになる」

「女性は男性を好きになる」

というイメージの影響を受けていることがあります。

そのため、同性に心を惹かれたとき、

「自分の性別のほうが違うのでは?」

と考える人もいます。

Jさんもそうでした。

けれど、ここには分けて考えたい二つのことがあります。

一つは、

「自分は誰に惹かれるのか」

ということ。

もう一つは、

「自分自身の性別をどう感じているのか」

ということです。

この二つは同じではありません。

女性が女性に惹かれることもあります。

だから、女性に惹かれるという経験だけから、

「だから自分は男性だ」

と急いで結論を出す必要はありません。

反対に、自分自身の性別について違和感を覚えているなら、その気持ちを無理に否定する必要もありません。

大切なのは、

「私は、本当は何を感じているのだろう?」

と、一つずつ確かめていくことです。


精神科で「性別違和」という言葉を知った

自分一人では分からなくなったJさんは、精神科へ相談に行きました。

そこで「性別違和」という言葉を聞きました。

それまで、

「自分がおかしいのだろうか」

「なぜこんなことを考えるのだろう」

と悩んでいたJさんにとって、自分の感じていることを考えるための一つの言葉を知った経験でした。

けれど、それですべてが解決したわけではありません。

「では、私は男性なの?」

「これからどうすればいいの?」

新しい疑問も生まれました。

性別違和という言葉を知ることと、自分自身について納得できる答えを見つけることは、必ずしも同じではありません。

Jさんはさらに、自分で調べ始めました。


「男性らしくなる方法」を調べるようになった

インターネットで性別について調べているうちに、Jさんはホルモン療法について知りました。

ホルモンを使った治療によって、身体にさまざまな変化が起こることを知ったのです。

Jさんは考えました。

「もっと男性らしくなったら、この違和感はなくなるのかな」

女性に惹かれる。

自分は男性なのかもしれないと思う。

精神科で性別違和という言葉を知る。

そして、身体を男性らしくするための方法があることも知る。

Jさんの中で、それぞれの出来事がつながっていきました。

「やっぱり、私は男性なのかもしれない」

そう考える一方で、心の中には迷いもありました。

「本当に身体を変えたいのかな」

「変わったら楽になれるのかな」

「それとも、早く答えを出したいだけなのかな」

調べれば調べるほど、分からなくなっていったのです。


「早く答えを出さなければ」が心を疲れさせることも

人の脳は、「分からない状態」が続くことを負担に感じることがあります。

脳には「扁桃体(へんとうたい)」という場所があります。

これは簡単にいうと、

「大丈夫かな?」と危険を見張る警報装置

のような働きをする部分です。

自分にとってとても大切な問題なのに、答えが分からない。

そんな状態が続けば、不安が強くなることがあります。

すると、

「私は男性?女性?」

「女性が好きなのはなぜ?」

「身体を変えたほうがいい?」

と、同じことを何度も考えてしまうことがあります。

考えること自体が悪いわけではありません。

ただ、不安が強い状態で答えを急ぐと、

「早くどちらかに決めなければ」

という焦りまで生まれることがあります。

Jさんにも、その焦りがありました。


カウンセリングで「分からないまま」話してみた

そこでJさんは、カウンセリングでも自分の気持ちを話してみることにしました。

とはいっても、最初からきれいに説明できたわけではありません。

「自分でも、よく分からないんです」

そんな言葉から始まりました。

「男性には興味がありません」

「素敵な女性を見るとドキドキします」

「だから、自分は男性なのかもしれないと思いました」

「ホルモン注射についても調べました」

一つずつ、これまで考えてきたことを話してくれました。

カウンセリングでは、

「それなら男性ですね」

とも、

「女性のままでいいですよ」

とも決めつけません。

ホルモン療法を受ける、受けないという結論を代わりに出すこともしません。

まず一緒に考えたのは、

Jさんの中で何が起きているのかを整理することでした。


一つに見えていた悩みを、少しずつ分けてみる

「女性に惹かれるとき、どんな気持ちになりますか?」

「自分を男性かもしれないと思うのは、どんなときですか?」

「女性として見られることについては、どう感じますか?」

「身体が男性らしくなったら、何が変わると思いますか?」

すぐに答えられない質問もありました。

でも、話していくうちにJさんは気づきました。

「私は、全部を一つのこととして考えていたのかもしれません」

女性に惹かれること。

自分自身の性別について感じていること。

身体について感じていること。

周囲からどう見られたいのか。

そして、

「自分は何者なのか早く知りたい」

という焦り。

それぞれを少しずつ分けて考えてみると、頭の中で絡まっていた糸がほどけるような感覚があったそうです。


「今すぐ決めなくてもいいと思ったら、楽になりました」

カウンセリングを受けたからといって、Jさんにその場で「答え」が出たわけではありません。

自分が男性なのか。

女性なのか。

どんな生き方を選ぶのか。

ホルモン療法についてどう考えるのか。

すべてが一度に決まったわけではありません。

それでも、Jさんはこんなことを話してくれました。

「ずっと、自分が何者なのか決めなきゃいけないと思っていました」

そして、

「今すぐ答えを出さなくてもいいと思ったら、少し楽になりました」

と言いました。

この言葉が、とても印象に残りました。

Jさんが楽になったのは、誰かに性別を決めてもらったからではありません。

自分の中にあった、

「早く答えを出さなければ」

という焦りから、少し距離を取ることができたからです。


カウンセリングは「あなたが何者か」を決める場所ではありません

自分の性別や恋愛について悩んでいると、

「誰かに答えを教えてほしい」

と思うことがあります。

それほど、一人で抱えることは苦しいものです。

でもカウンセリングで大切にしたいのは、

「あなたは○○です」

と決めることではありません。

自分でも分からなかった気持ちを、安心して言葉にできる場所をつくること。

そして、

「私は何に違和感を覚えている?」

「何が怖い?」

「どうなったら安心できる?」

「私はどんな自分でいたい?」

と、一緒に整理していくことです。

人に話して初めて、

「ああ、私はこれが怖かったんだ」

と気づくことがあります。

反対に、

「これは私にとって大切な気持ちだったんだ」

と分かることもあります。

答えを押しつけられるのではなく、自分自身の答えを探していく。

カウンセリングには、そんな役割もあります。


自分が分からなくなったときの「思考の交通整理メモ」

Jさんのように、いくつもの考えが頭の中を巡ってしまうときには、紙に書いて分けてみる方法があります。

① 事実

実際に起きたことだけを書きます。

「素敵な女性を見てドキドキした」

② 考えたこと

その出来事から、自分が考えたことを書きます。

「私は男性なのかもしれない」

③ 感じたこと

そのときの感情を書きます。

「戸惑い」

「不安」

「うれしさ」

「怖さ」

どんな気持ちでも構いません。

④ 本当はどうしたい?

最後に、

「今の自分はどうしたい?」

と考えます。

「すぐに答えを決めず、もう少し自分の気持ちを知りたい」

でもいいのです。

こうして分けると、

「起きた出来事」と「そこから考えたこと」は、同じではない

と気づきやすくなります。

自分を分析して正解を出すためではありません。

自分の心を少し理解しやすくするための方法です。


身体についての大切な決断は、焦らなくてもいい

ホルモン療法を希望すること自体を、否定する必要はありません。

一方で、身体に変化をもたらす医療については、インターネットの情報だけで判断せず、専門の医療機関で相談することが大切です。

「どんな変化を望んでいるのか」

「どのような変化が起こり得るのか」

「自分は何を大切にしたいのか」

そうしたことを十分に確認したうえで、自分自身で選択していくことが大切です。

カウンセリングでは、医療的な判断や治療の代わりをすることはできません。

でも、

「なぜ私は身体を変えたいと思っているのだろう」

「どんな自分なら安心して生きられるのだろう」

という気持ちを整理するお手伝いはできます。


「まだ分からない」も、一つの大切な状態です

女性に惹かれる。

自分は男性なのかもしれないと思う。

自分の身体を変えたい気持ちがある。

でも、本当にそうしたいのか分からない。

そんな複雑な気持ちを持つことがあります。

無理に一つにまとめなくてもいいのです。

そして、

「男性か女性か」

「どちらが正しいのか」

だけを急いで決めなくても構いません。

大切なのは、

「私は、どんな自分でいると安心できるのだろう」

と、自分の気持ちに耳を傾けることです。

Jさんも、カウンセリングですべての答えを見つけたわけではありません。

それでも、

「分からないことを、分からないまま話してもいい」

と知りました。

それだけで、一人で抱えていた心の重さが少し軽くなったのです。

もしあなたも、自分の性別や恋愛について考え続け、苦しくなっているなら。

一人で答えを出そうとしなくても大丈夫です。

答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理するために相談してみる。

そんな一歩があってもいいのではないでしょうか。


U-LaLaカウンセリングのご案内

U-LaLa(うらら)では、心理学・脳科学を取り入れながら、一人ひとりの気持ちに寄り添うカウンセリングを行っています。

「自分の性別が分からない」

「同性に惹かれる自分をどう理解したらいいのか分からない」

「身体を変えたい気持ちはあるけれど、迷いもある」

「誰にも話せず、一人で考え続けている」

そんなときも、最初から答えを出しておく必要はありません。

「自分でもよく分からない」

そこからお話しいただいて大丈夫です。

あなたが何者なのかをこちらで決めるのではなく、今感じていることを一つずつ整理しながら、自分にとって安心できる方向を一緒に探していきます。

オンライン・電話でも対応可能です。

初回は無料でご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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