「どうして分かってくれないの?」 相手への期待の奥にある、本当の気持ち
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「これくらい、言わなくても分かるだろう」
「どうして自分の気持ちを分かってくれないんだろう」
職場でも、家庭でも。
相手に対して、そんな気持ちになったことはありませんか?
自分なりに相手のことを考えている。
迷惑をかけないように気をつけている。
言いたいことがあっても、なるべく我慢している。
だからこそ、
「自分のことも、少しくらい分かってほしい」
と思ってしまう。
ところが、相手は気づいてくれません。
それどころか、こちらの気持ちとは正反対のことを言われることさえあります。
すると、
「なんで分からないんだ」
「自分ばかり気をつかっている」
「もう話しても無駄だ」
と、イライラしてしまいます。
でも、その「怒り」の奥には、別の気持ちが隠れていることがあります。
それは、とてもシンプルな、
「本当は、分かってほしかった」という気持ちです。
「自分ばかり気をつかっている」と感じるとき
40代の会社員Aさん。
事務系の仕事をしていて、周囲への気配りを大切にする人です。
忙しそうな同僚がいれば手伝う。
頼まれた仕事も、できるだけ断らない。
家庭でも、自分の都合より家族を優先することが多くありました。
ある日、仕事で疲れきって帰宅したAさん。
「今日はもう何もしたくない」
そう思うほど疲れていました。
けれど、それを口には出しませんでした。
そんなとき、家族からいつものように用事を頼まれました。
その瞬間です。
「俺がどれだけ疲れているか、見れば分かるだろう!」
思わず強い言葉が出てしまいました。
家族は驚きます。
Aさん自身も、後になって落ち込みました。
「なんで、あんな言い方をしたんだろう……」
「自分は心が狭いんじゃないか」
でも、気持ちを一つずつ整理してみると、本当に伝えたかったことは「怒り」だけではありませんでした。
「今日はすごく疲れている」
「少し休ませてほしい」
「頑張っていることを分かってほしい」
そんな気持ちが、怒りの奥に隠れていたのです。
怒りの奥には「本当の願い」が隠れていることがあります
人は、心の奥にある気持ちを、そのまま言葉にできるとは限りません。
「寂しかった」
「悲しかった」
「認めてほしかった」
「大切にしてほしかった」
「助けてほしかった」
こうした言葉を口にすることに、抵抗を感じる人もいます。
特に、普段から責任感が強く、
「自分がしっかりしなければ」
「人に迷惑をかけてはいけない」
と頑張っている人ほど、「助けてほしい」「分かってほしい」と言えず、自分の中にため込んでしまうことがあります。
そして我慢が積み重なったとき、
「なんで分かってくれないんだ!」という形で、一気に表へ出てしまうのです。
だから、「また怒ってしまった」と自分を責めるだけでは、本当の問題が見えないことがあります。
大切なのは、
「私は、本当は何を分かってほしかったんだろう?」と、自分の心に聞いてみることです。
疲れていると、なぜ些細なことにもイライラするの?
ここには、脳の働きも関係しています。
脳には、危険や不安などにすばやく反応する**扁桃体(へんとうたい)**があります。
一方で、状況を整理したり、感情を調整したりする働きには、**前頭前野(ぜんとうぜんや)**が深く関わっています。
強いストレスを感じているときや、心身の余裕が少ないときには、感情を落ち着かせたり柔軟に考えたりすることが難しくなる場合があります。
普段なら、
「今日は相手も余裕がないのかな」と思えることでも、
「なんで自分のことを考えてくれないんだ!」
と強く受け取ってしまうことがあるのです。
そして、記憶に深く関わる**海馬(かいば)**の働きによって、今の出来事から過去の似た経験が思い出されることもあります。
「前にも同じことがあった」
「昔から誰も自分を分かってくれなかった」
そんな記憶まで重なると、目の前の一つの出来事が、とても大きな問題に感じられることがあります。
人の心は、「今起きていること」だけで動いているわけではありません。
これまで経験してきたことや、疲れ、ストレスなど、さまざまなものが影響しています。
だからこそ、感情だけを見て、
「自分は短気な人間だ」
と決めつけるのではなく、
「なぜ、こんなに強く反応したのだろう?」
と、その背景を知ることが大切なのです。
「察してほしい」は、すれ違いを生みやすい
もう一つ、大切なことがあります。
それは、
自分が相手をよく見ているからといって、相手も同じように自分を見ているとは限らない
ということです。
たとえば、自分は相手の表情を見ただけで、
「今日は疲れていそうだな」と気づくタイプかもしれません。
すると無意識に、
自分が分かるのだから、相手も分かるはずと思ってしまいます。
でも、人によって情報の受け取り方や、注意を向けるポイントは違います。
自分には「明らかなサイン」でも、相手にはまったく伝わっていないことがあります。
ここに、人間関係のすれ違いが生まれます。
声紋分析から、自分の「いつものパターン」を見つめる
U-LaLaでは、心理学や脳科学の考え方に加えて、声紋分析も自己理解のための一つの手がかりとして活用しています。
声紋分析では、6秒ほど声を録音し、声に含まれる周波数を色のパターンとして視覚化していきます。
そこから、自分がどのような感覚を使いやすいのか、どのような方向へ行動しやすいのかなどを見つめていきます。
たとえば、
「周囲を優先しやすい」
「自分の中で考えてから行動しやすい」
「相手に合わせることを大切にしやすい」
といった自分の傾向に気づくきっかけになることがあります。
大切なのは、
「あなたはこういう人です」と決めつけることではありません。
声紋分析も一つの材料にしながら、
「そういえば、自分はいつも相手を優先しているな」
「頼まれると断れないことが多いな」
「自分は察するのに、相手が察してくれないと腹が立つな」
と、自分自身を振り返っていくのです。
気づかなかった自分のパターンが見えてくると、「どうしてこんなに苦しいんだろう」という疑問が少しずつ整理されることがあります。
「家族に怒っていたと思っていました。でも……」
Aさんも、自分の気持ちを整理するうちに、こんなことに気づいていきました。
「家族に腹が立っていると思っていました。でも、本当は疲れていることを分かってほしかったんですね」
そして、もう一つ。
「自分は何も言っていないのに、相手には分かってほしいと思っていました」
この気づきは、とても大切です。
それまでは、
「分かってくれない相手が悪い」
というところで気持ちが止まっていました。
でも、自分の心が見えてくると、
「相手を変えたい」から、
「自分の気持ちをどう伝えよう?」
へと、少しずつ視点を変えることができます。
「どうして分かってくれない」と思ったときの3つの質問
もし誰かに強くイライラしたら、その場ですぐに解決しようとしなくてもかまいません。
気持ちが少し落ち着いてから、次の3つを自分に聞いてみてください。
① 私は今、何に腹を立てている?
まずは、「怒ってはいけない」と否定せず、そのまま認めます。
② 本当は、相手に何をしてほしかった?
「話を聞いてほしかった」
「ありがとうと言ってほしかった」
「少し休ませてほしかった」
「頑張っていることを認めてほしかった」
できるだけ具体的な言葉にしてみましょう。
③ その気持ちを、相手に言葉で伝えただろうか?
「普通なら分かる」
「見れば分かる」
「これくらい察してほしい」
と思っていたことほど、実は相手には伝わっていないかもしれません。
そんなときは、
「どうして分からないんだ!」
ではなく、
「今日はかなり疲れているから、30分だけ休ませてほしい」
のように、自分の状態と希望を具体的に伝えてみます。
相手を責める言葉から、自分を伝える言葉へ。
それだけでも、会話の雰囲気が変わることがあります。
「分かってほしい」は、あなたの心からのメッセージ
「どうして分かってくれないの?」
そう思ったとき、私たちはどうしても相手ばかりを見てしまいます。
でも、その言葉を少しだけ自分の内側へ向けてみてください。
「私は、何を分かってほしいんだろう?」
そこには、「頑張っていることを認めてほしい」
「本当は休みたい」
「大切にしてほしい」
「寂しかった」
「助けてほしい」
そんな気持ちが隠れているかもしれません。
その気持ちに気づけるだけでも、自分自身への見方は少し変わります。
そして、自分の気持ちが分かるようになると、それを相手へ伝える方法も見つけやすくなります。
相手に分かってもらうことだけを求める前に、
まず、自分が自分の気持ちを分かってあげる。
「どうして分かってくれないの?」という言葉は、相手を責めるためだけの言葉ではなく、
「そろそろ自分の本当の気持ちに気づいて」
という、心からのサインなのかもしれません。
ひとりでは、その気持ちがうまく見つけられないこともあります。
そんなときは、誰かと一緒に整理してみることも一つの方法です。
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