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こころの履歴書 ――これまでの経験から「今の自分」を知るために

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自己肯定感・生き方の迷い

私たちは、これまで経験してきた出来事から、さまざまなことを学んでいます。

 

うれしかったこと、楽しかったことだけではなく、

「寂しかった」
「怖かった」
「認めてもらえなかった」
「誰にも相談できなかった」

 

そんな経験も、今の自分の考え方や行動に影響していることがあります。

 

「こころの履歴書」は、過去の自分を評価したり、原因を決めつけたりするためのものではありません。

 

これまで何を経験し、何を感じ、そこからどのような考え方や行動の癖が身についたのか。

 

自分自身を理解するために、人生をゆっくり振り返ってみましょう。

 

1.こころの履歴書を書く目的

履歴書には、学歴や職歴を書きます。

 

こころの履歴書に書くのは、**「心の歩み」**です。

 

たとえば、

「なぜ、人の顔色を気にしてしまうのだろう」

「なぜ、頼まれると断れないのだろう」

「なぜ、失敗することがこんなに怖いのだろう」

「なぜ、分かってもらえないと強くイライラするのだろう」

 

現在の自分だけを見ていると、「自分の性格だから」と考えてしまうことがあります。

 

しかし、これまでの経験を振り返ってみると、

 

「自分には、そう考えるようになった理由があったのかもしれない」

と気づくことがあります。

 

2.6つの視点から振り返ります

① その頃の出来事

家庭、学校、友人関係、仕事、恋愛、結婚、子育てなど、心に残っている出来事を書きます。

最初は、事実だけを短く書いて構いません。

例)

・両親の喧嘩が多かった
・学校で仲間外れになった
・親からよく叱られた
・仕事で大きな失敗をした
・上司から強く叱責された

 

② そのときの気持ち

その出来事が起きたとき、どんな気持ちだったでしょうか。

例)

・怖かった
・悲しかった
・寂しかった
・悔しかった
・恥ずかしかった
・誰にも分かってもらえないと思った

今の自分から見た感想ではなく、できる範囲で**「当時の自分の気持ち」**を思い出してみます。

 

③ 身についた考え方

経験を重ねるなかで、自分なりの「考え方」が身につくことがあります。

例)

・良い子でいなければならない
・失敗してはいけない
・人に迷惑をかけてはいけない
・自分が我慢すればいい
・人に頼ってはいけない
・嫌われないようにしなければならない

こうした考え方は、当時の自分が周囲に適応したり、自分を守ったりするために身につけた可能性もあります。

 

④ 身についた行動の癖

考え方は、日常の行動にも表れることがあります。

例)

・相手の顔色を確認する
・嫌なことでも断れない
・一人で抱え込む
・失敗しないように何度も確認する
・人と深く関わることを避ける
・相手に合わせすぎる

 

⑤ 本当はどうしてほしかった?

ここは大切な部分です。

当時の自分に、

「本当は、どうしてほしかった?」

と問いかけてみます。

例)

・話を聞いてほしかった
・守ってほしかった
・認めてほしかった
・褒めてほしかった
・味方になってほしかった
・安心させてほしかった
・そのままの自分を受け入れてほしかった

 

⑥ その経験から得た力

つらかった経験を、無理に「良い経験だった」と考える必要はありません。

一方で、これまで生きてきた中で身についた力がないかも振り返ってみます。

例)

・人の気持ちに気づける
・責任感がある
・困っている人を放っておけない
・粘り強く取り組める
・慎重に考えることができる
・周囲への気配りができる

 

3.こころの履歴書 記入シート

すべての欄を埋める必要はありません。

思い出せるところ、書けそうなところから始めてください。

【記入例】

年代 出来事 そのときの気持ち 身についた考え方 行動の癖 本当はどうしてほしかった?
小学生

両親の喧嘩が多かった

怖かった。落ち着かなかった 良い子でいなければならない 親の顔色を見るようになった 安心させてほしかった。話を聞いてほしかった

【あなたのこころの履歴書】

年代 出来事 そのときの気持ち 身についた考え方 行動の癖 本当はどうしてほしかった?
幼少期                                                  
                                                   
小学生                                                  
                                                   
中学生                                                  
                                                   
高校生                                                  
                                                   
20代                                                  
                                                   
30代                                                  
                                                   
40代                                                  
                                                   
50代以降                                                  
                                                   

 

4.書き方に迷ったときは

「出来事」

何がありましたか?

親によく叱られた/友達とトラブルになった/仕事で失敗した、など。

 

「そのときの気持ち」

そのとき、どう感じましたか?

怖い/悲しい/寂しい/悔しい/恥ずかしい、など。

 

「身についた考え方」

その経験から、どんなことを思うようになりましたか?

「失敗してはいけない」

「人に迷惑をかけてはいけない」

「自分が我慢すればいい」など。

 

「行動の癖」

その後、どんな行動をするようになりましたか?

顔色を見る/断れない/一人で抱え込む/人と距離を置く、など。

 

「本当はどうしてほしかった?」

当時の自分は、何を求めていたのでしょう?

認めてほしかった/守ってほしかった/話を聞いてほしかった/安心したかった、など。

 

5.書き終わったら振り返ってみましょう

① 私の人生で、繰り返し出てくる気持ちは?

 


② 繰り返している「考え方の癖」は?

 


③ 繰り返している「行動の癖」は?

 


④ 本当は、周囲の人にどうしてほしかった?

 


⑤ これまでの経験から身についた「私の強み」は?

 


⑥ これからの自分が大切にしたいことは?

 


 

6.過去と「今」をつなげてみる

こころの履歴書を書いたあと、現在の自分について考えてみましょう。

私はこれまで、

 


という経験をしてきました。

その経験から、

 


という考え方が身についたのかもしれません。

そのため現在も、

 


という行動をすることがあります。

本当の私は、

 


してほしかったのかもしれません。

これからは、

 


を大切にしていきたいと思います。

 

7.カウンセリングで大切にしたいこと

こころの履歴書を書く目的は、

「過去に原因を探して、誰かを責めること」ではありません。

 

そして、

「自分の性格の悪いところを探すこと」でもありません。

 

現在の考え方や行動には、それが身についた背景があるかもしれません。

「どうして私はこうなんだろう」から、

 

「私は、どうしてこう考えるようになったのだろう」

へ視点を変えてみます。

 

自分の心の歩みが見えてくると、

 

「これまでの自分」と「これからの自分」を分けて考えることができるようになります。

 

過去は変えることができません。

 

しかし、過去の経験から身についた考え方や行動については、今の自分に合っているかを改めて考えることができます。

 

こころの履歴書は、そのための第一歩です。

 

書くときのお願い

つらい出来事を無理に思い出す必要はありません。

 

書きたくないところは、空欄で構いません。

 

書いている途中で気持ちが大きく揺れたり、苦しくなったりした場合は、そこで中断してください。

 

一人で整理することが難しい内容は、カウンセリングの中で一緒に整理していきましょう。