できない自分を許せないとき いいセルフケアを教えます。
「またミスしてしまった……」「自分なんて、やっぱりダメだ」
そんなふうに、自分の失敗を責め続けていませんか?
まわりの人は「気にしなくていいよ」と言ってくれるのに、自分だけは、なぜかいつまでも許せない。
でも、それはあなたが“まじめで責任感が強い人”だからこそ。
そんなあなたにこそ、いま必要なのは「許す練習」です。
◾️相談者事例(Aさんのエピソード)
Aさん(40代・男性・事務職)は、ある日、書類の提出ミスをしてしまいました。
すぐに訂正し、大きなトラブルにはなりませんでしたが、Aさんは自分を強く責め続けていました。
「自分のせいで信用を失った気がする」「同僚の信頼を裏切ったかも」
誰も責めていないのに、自分だけが深く落ち込み、眠れない夜が続いたそうです。
◾️心理学解説:自己効力感と学習性無力感
Aさんのように、まじめで責任感が強い人ほど「一度のミス」で深く自信を失いやすい傾向があります。
これは「自己効力感」が一時的に低下している状態です。
自己効力感とは「自分ならできる」と信じる感覚のこと。
一方で、繰り返し自分を責めてしまうと「学習性無力感」に陥ることもあります。
これは「何をやってもダメだ」と思い込んでしまう状態です。
この状態では、本来の力が出せず、悪循環になってしまいます。
◾️脳科学解説:前頭前野と扁桃体の関係
ミスをしたとき、まず反応するのが脳の「扁桃体」です。
扁桃体は不安や恐怖に反応する“警報装置”のような働きをします。
そして、前頭前野という“考える脳”が、「大丈夫、たいしたことじゃないよ」と落ち着かせてくれるのです。
しかし、疲れていたり、ストレスがたまっていたりすると、前頭前野の働きが弱まり、扁桃体の反応が強くなってしまいます。
すると「いつまでも不安が消えない」状態になってしまうのです。
◾️声紋分析セクション
今回のAさんの声紋では、視感覚(ブルー〜マゼンタ)に強く偏りが見られました。
この帯域は「物事を客観的に見ようとする」力が強い反面、自分に厳しくなりやすい傾向があります。
また、行動基準は「社会軸(マゼンタ)」が優勢で、「みんなのために」と行動する責任感の強さが出ていました。
そのため、少しの失敗でも「周囲に迷惑をかけた」と強く感じやすく、必要以上に自分を責めてしまう傾向があるのです。
◾️セルフケアの提案
① U-LaLa446 呼吸法(落ち着きの呼吸)
やり方:背筋を伸ばし、鼻から4秒吸う → 4秒止める → 口から6秒吐くを5分繰り返す。
効果:副交感神経を高め、不安やストレスを鎮め、心拍・血圧を安定させる。
備考:丹羽真一, 2019, 福島県立医科大学/Nivethitha et al., 2016, J Clin Diagn Res
② “小さな成功”メモ(3つのよかったこと日記)
やり方:寝る前に今日「できたこと・よかったこと」を3つノートに書き、その理由をひと言添える。
効果:小さな達成感の積み重ねで自己効力感を高め、幸福感が持続、抑うつ症状を軽減。
備考:島井哲志, 2010, 関西学院大学/Seligman et al., 2005, American Psychologist
◾️クライエントさんの声
最初は「ちょっと落ち込んだだけ」と思っていたけど、夜になると頭の中で同じことをぐるぐる考えてしまって、正直すごくしんどかったです。
カウンセリングで『それはまじめな人ほど起きやすい反応ですよ』と言われて、少し気が楽になりました。
“呼吸法”と“よかったことメモ”を続けるうちに、少しずつ自分の失敗を許せるようになってきて、
「あ、ちゃんと眠れた」と思える朝が増えてきました。
とくに“よかったことメモ”では、日常の中で「うまくできたこと」「助けられていたこと」に気づけるようになって、
自分が“ずっとダメ”だったわけじゃないと実感できました。
自分を責めるクセはすぐには消えないけど、「もう少し自分にやさしくしよう」って、心から思えるようになってきた気がします。
◾️カウンセラー視点
Aさんは、最初は「自分はもっと努力すべきだ」と強く思い込んでいました。
でも今は「自分をねぎらう」ことが、また前を向くための第一歩だったと実感されています。
◾️まとめ
あなたが「できない自分」を責めてしまうのは、それだけ真剣に取り組んでいる証です。
でも、誰だってミスをします。完璧じゃなくても、価値は減りません。
「許す練習」は、自分をあきらめることではなく、自分を信じ直すための大切なステップです。
今日は、ひと呼吸おいて、自分にやさしい言葉をかけてあげてください。
◾️U-LaLa カウンセリング案内
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