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上司の一言を悪く受け取ってしまう心理|「評価されていない」と感じるあなたへ

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仕事・キャリアの悩み

「もう少し積極的に動いてほしい。」

 

上司からそう言われただけなのに、胸が重くなる。

 

「やっぱり自分は評価されていないんだ。」

「だから昇進できないんだ。」

 

そんなふうに、上司の一言を悪い意味に受け取ってしまうことはありませんか。

 

家に帰っても、その言葉が頭から離れない。

 

「あの言い方には、別の意味があったのではないか。」

 

考えているうちに、最後は「自分は仕事ができないのかもしれない」と自分を責めてしまう。

 

でも、上司の言葉を悪く受け取ってしまう背景には、性格だけでは説明できない心の働きがあります。

 

今回は、衣料メーカーで働く40代男性、Sさんの事例から、心理学・脳科学・声紋心理学の3つの視点で、その理由を整理していきます。

 

相談者事例|同期より昇進が遅れていると思っているSさん

Sさんは、衣料メーカーに勤める40代の男性です。

 

長年、真面目に仕事を続けてきました。

 

任された仕事は期限までに終わらせる。

 

トラブルがあれば最後まで対応する。

 

後輩から質問されれば、できるだけ丁寧に答える。

 

派手に目立つタイプではありませんが、自分なりに責任を持って働いてきました。

 

ところが40代になり、気になることが増えてきました。

 

同期が次々と昇進していったのです。

 

課長になった同期もいます。

 

責任ある仕事を任される後輩も増えてきました。

 

一方、Sさんには大きな役職の変化がありません。

 

「人と比べても仕方がない。」

 

頭では分かっています。

 

それでも、「自分は会社から、どう見られているんだろう。」

 

「今までやってきたことは評価されているのだろうか。」

 

という思いが強くなっていました。

 

そんなある日、上司から言われました。

 

「Sさんには、もう少し積極的に動いてほしいんだよね。」

 

その瞬間、Sさんの頭に浮かんだのは、「やっぱり自分は評価されていない。」

という言葉でした。

 

上司は「仕事ができない」とは言っていません。

 

それでもSさんの中では、「今までの仕事では足りない。」

 

「だから昇進できないんだ。」

 

という意味に変わっていきました。

 

主訴から心理学で考えられること

Sさんの主訴は、「上司の一言を悪く受け取ってしまう。」
ということでした。

 

心理学では、出来事そのものだけではなく、「その出来事をどう受け取ったか」が気持ちに影響すると考えます。

 

この受け止め方を「認知」と呼びます。

 

たとえば、

 

「もう少し積極的に動いてほしい。」という上司の言葉があります。

 

ある人は、「期待されているのかな。」と受け取るかもしれません。

 

別の人は、「今の自分では足りないと言われた。」

 

と感じるかもしれません。

 

Sさんには以前から、

 

「同期より昇進が遅れている。」

 

という不安がありました。

 

そのため、上司の言葉と、「自分は評価されていないのではないか。」

 

という気持ちが結びついた可能性があります。

 

つまり、上司の一言だけが苦しさの原因ではなく、もともと心の中にあった「評価への不安」が、言葉の意味を大きくしていたと考えられます。

 

主訴から脳科学で考えられること

脳にも、不安な情報に反応する仕組みがあります。

 

脳の中にある「扁桃体」は、危険や不安を素早く見つける場所です。

 

いわば、心を守るための警報装置のようなものです。

 

「自分は評価されていないかもしれない。」

 

そんな不安が続いていると、仕事の評価に関係しそうな言葉へ注意が向きやすくなることがあります。

 

また「海馬」は、過去の記憶に関係しています。

 

以前に注意された経験。

 

同期だけが昇進したときの悔しさ。

 

自分だけ取り残されたように感じた経験。

 

こうした記憶と、上司の新しい一言が結びつくことで、

 

「また自分は評価されていない。」と感じやすくなる場合があります。

 

さらに「前頭前野」は、状況を整理したり、別の見方を考えたりするときに関わる場所です。

 

ストレスや緊張が強いと、「もしかしたら期待を込めた言葉かもしれない。」

 

という別の見方が、その場では浮かびにくくなることがあります。

 

だから、「考えないようにしよう。」

 

と思っても、上司の言葉が頭の中を何度も回ってしまうことがあるのです。

 

主訴から声紋心理学で考えられること

Sさんの声紋分析では、相手軸が強めで、視感覚と聴感覚を使いやすい傾向が見られました。

 

相手軸が強めの場合、相手との関係や反応を意識しながら行動することがあります。

 

また、視感覚と聴感覚が強めの場合、

 

相手の表情。
目線。
声の調子。
言葉の選び方。

 

などを受け取りやすい傾向があります。

 

これは、決して悪い特徴ではありません。

 

相手の変化に気づける。

 

その場の様子を見ながら対応できる。

 

人の話をよく聞ける。

 

こうした力は、職場で人と関わるうえで大切な強みになります。

 

一方で、Sさんのように「自分は評価されていないのではないか」という不安がある時期には、

 

その力が上司の反応へ強く向くことがあります。

 

「今の表情はどういう意味だろう。」

 

「声のトーンが少し冷たかった。」

 

「何か不満があるのではないか。」

 

このように、相手から入ってくる情報を細かく受け取り、それを自分への評価と結びつけて考えてしまう可能性があります。

 

3つの視点を合わせると見えてくること

心理学から見ると、Sさんには「評価されていないのではないか」という不安があり、それが上司の言葉の受け取り方に影響していた可能性があります。

 

脳科学から見ると、不安が続くことで、仕事上の否定的な情報へ注意が向きやすくなっていた可能性があります。

 

そして声紋心理学から見ると、Sさんには相手の表情や言葉をよく受け取れる力があります。

 

この3つを合わせると、「相手をよく見る力。」
と、「評価への不安。」

 

が重なり、上司の一言をいつも以上に重く受け取っていた可能性が考えられます。

 

つまり、

 

「気にしすぎる性格だから。」と決めつける必要はありません。

 

もともと持っている力が、今は不安の方向へ向きやすくなっているのかもしれません。

 

疲れセルフチェックリスト

最近、こんな状態が続いていないでしょうか。

□ 上司の一言を何度も思い出す。
□ 上司の表情や声の調子が気になる。
□ メールの短い返事でも不安になる。
□ 同期や後輩の昇進を聞くと焦る。
□ 注意されると、自分全体を否定された気がする。
□ 「自分は評価されていない」と考えることが増えた。
□ 家に帰っても仕事について考えている。
□ 寝る前まで上司との会話を思い出す。

 

当てはまる数で、心の状態を決めるものではありません。
「最近の自分は、評価を気にする時間が増えているな。」と気づくための目安として使ってみてください。

 

緩和するためのアフターケア

今回のSさんに必要なのは、「人を気にしないようにすること」ではありません。

 

相手を見る力を残したまま、不安に引っぱられすぎない状態へ整えていくことです。

 

1.感情ラベリング

やり方

上司の言葉が気になったら、
「不安。」
「悔しい。」
「焦り。」
など、今の気持ちを1〜2語で書きます。

できれば、「不安70%。」のように、気持ちの強さも数字にします。

 

そのあと、
「実際に言われたこと。」と、「自分が考えたこと。」

 

を分けて書きます。

 

たとえば、「もう少し積極的にと言われた。」
が事実。

 

「評価されていないと思った。」が自分の考えです。

 

効果

上司の言葉と、自分がそこにつけた意味を分けやすくなります。
すぐに「自分への低い評価だ」と決める前に、一度整理する時間を作れます。

 

備考(エビデンス)

認知行動療法では、出来事・考え・感情などを記録し、整理する方法が用いられています。
厚生労働科学研究における認知行動療法の実践資料でも、こうした方法が紹介されています。

 

2.U-LaLa “小さな成功”メモ

やり方

寝る前に「今日できたこと・よかったこと」を3つ書きます。

「資料を期限までに出した。」
「後輩の質問に答えた。」
「必要な報告ができた。」

 

など、小さなことで構いません。

最後に、できた理由を一言添えます。

 

効果

意識が「上司からどう見られたか」だけに向くのを和らげ、自分が実際にできていることへ目を戻す助けになります。

上司の一言だけで、自分の仕事全体を判断しにくくなります。

 

備考(エビデンス)

島井哲志「ポジティブ心理学の展開」(2010年)などでは、日常の良い出来事に目を向ける取り組みが紹介されています。

 

3.U-LaLa446呼吸法

やり方

鼻から4秒かけて息を吸います。
4秒止めます。
口から6秒かけて、ゆっくり吐きます。

苦しくない範囲で5分程度繰り返します。

 

効果

上司から何か言われた直後など、心と体が緊張しているときに使います。

 

すぐに、「どういう意味だったんだろう。」

 

と考え始める前に、まず体の緊張を整える時間を作ります。

 

備考(エビデンス)

片岡ら「腹式呼吸と自然呼吸の相違による自律神経系への影響」(2005年、日本保健医療行動科学会誌)では、ゆっくりした腹式呼吸と自律神経活動

との関係が報告されています。

息を止めることが苦しい場合は、無理をせず中止してください。

 

クライエントさんの声

「40代になってから、同期の昇進がかなり気になるようになりました。

 

同期が課長になったり、後輩が大きな仕事を任されたりすると、『自分は遅れているのではないか』と焦っていました。

 

そんなとき、上司から『もう少し積極的に動いてほしい』と言われました。

 

その瞬間、『やっぱり自分は評価されていないんだ』と思いました。

 

家に帰ってからも、『だから昇進できないんだ』『自分は仕事ができないんだ』と何度も考えていました。

 

カウンセリングで話してみると、上司が実際に言ったことと、自分が頭の中で考えたことが混ざっていることに気づきました。

 

声紋分析では、相手の反応を意識しながら行動することや、表情や言葉を受け取りやすいことも、自分の持っている力として説明してもらいました。

 

それまでは『人のことを気にしすぎる性格なんだ』と思っていました。

 

でも、『相手をよく見られることは、強みにもなります』と言われたことが印象に残っています。

 

そして、『昇進への不安がある今は、その力が上司の評価に向きやすくなっていたのかもしれませんね』と聞いて、少し納得できました。

 

それからは、上司の言葉が気になったとき、まず自分の気持ちを書くようにしています。

 

寝る前には、その日にできたことも3つ書いています。

 

上司の言葉がまったく気にならなくなったわけではありません。

 

でも以前のように、一言だけで『自分はダメだ』と決めつけることは減りました。

 

今は、昇進だけで自分を判断するのではなく、『これから自分はどんな仕事をしていきたいのか』も考えてみたいと思っています。」

 

カウンセラー視点|変えるのは「強み」ではなく、使う方向

Sさんの場合、相手の表情や言葉をよく受け取れることは、大切な強みです。

 

その力があったからこそ、これまで周囲に気を配りながら仕事を続けてこられた部分もあると思います。

 

ただ、評価への不安が強くなると、その力が「上司からどう見られているか」を探す方向へ向きやすくなることがあります。

 

だから、相手を気にしない人になる必要はありません。

 

大切なのは、「今、自分の意識はどこに向いているのだろう。」

 

と気づくことです。

 

そして、
「本当は認めてもらいたかった。」

 

「これまでの仕事を見てもらいたかった。」

 

という自分の気持ちにも目を向けていきます。

 

強みをなくすのではなく、強みが不安だけに使われないよう整えていく。

 

それが今回のSさんにとって、大切なアフターケアだと考えます。

 

まとめ|上司の一言と、あなたの価値は同じではありません

上司の一言を悪く受け取ってしまう背景には、仕事への不安や評価への焦り、過去の経験などが重なっていることがあります。

 

さらに、相手の表情や言葉をよく受け取れる人ほど、小さな変化にも気づきやすいことがあります。

 

でも、その力そのものが問題なのではありません。

 

心理学・脳科学・声紋心理学の3つの視点から整理してみると、

 

「自分は気にしすぎる。」

 

という見方とは違う自分が見えてくることがあります。

 

まずは、
「上司が実際に言ったこと。」と、

 

「自分がそこから考えたこと。」を分けてみてください。

 

昇進が遅れているからといって、これまで積み重ねてきた仕事の価値までなくなるわけではありません。

 

上司の一言だけで、あなたのすべてが決まるわけでもありません。

 

自分の心の使い方や強みが分かってくると、

 

「上司からどう評価されるか。」

 

だけではなく、「自分はこれから、どんな働き方をしたいのか。」

 

という方向にも目を向けやすくなります。

 

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