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フライングハグという思いやり 〜「気まずさ」をほどく、“先まわりの安心感”〜

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「ちゃんと伝えたはずなのに…」

 

生徒に声をかけたあと、どこかモヤモヤが残る。そんな経験、ありませんか?

 

叱ったつもりはないけれど、相手が無言になる。注意しただけなのに、かえって距離ができたような気がしてしまう。

 

そんなときにこそ、思い出してほしいのが「フライングハグ」という関わり方です。

 

これは実際にハグをするのではなく、“心で先に相手を抱きしめるように接する”こと。

 

言葉をかける前に、安心を先に届ける工夫です。

 

 

◾️相談者事例(M先生・40代・中学校教員・男性)

M先生は、ある女子生徒との関係で悩んでいました。

 

「授業中に注意しただけなのに、急に表情がこわばって。

 

それ以降、話しかけても反応が薄くて…。

 

きつく言ったつもりはないけれど、何か傷つけてしまったのかもって考えてしまうんです」

 

M先生は、生徒との信頼関係を大切にしながらも、指導の場面では“言わなければいけないこと”との間で葛藤していました。

 

「最近は、言う前に『まず安心を渡す』ようにしています」

 

それが、“フライングハグ”という新しい関わり方のはじまりでした。

 

 

◾️心理学解説

この「フライングハグ」は、心理学でいう“共感的理解”と“自己一致”に通じる行動です。

 

・共感的理解:相手の立場や気持ちを想像し、否定せずに受け取ること

 

・自己一致:自分の気持ちに嘘をつかず、素直に表現すること

 

M先生は、「指導の前に、まず一言で生徒の気持ちを受け止める」ことを意識するようになりました。

たとえば、こんな言葉をかけるようにしています:

 

・「今日は少し疲れてるかもしれないね」

・「急に言ってごめんね、驚かせたかも」

・「あなたが頑張っているの、ちゃんと伝わってるよ」

・「怒ってるんじゃなくて、大切に思っているから話してるんだ」

・「このこと、一緒に考えてみたいと思ってるよ」

 

こうした“心のクッション”があると、生徒の反応がまるで違ってくるとM先生は話してくれました。

 

◾️脳科学解説

脳のしくみから見ると、注意や指導を受けたときに反応するのが「扁桃体」。

・扁桃体:不安や警戒を感じる脳のセンサー

・前頭前野:思考や判断、感情コントロールをつかさどる部位

 

思春期の女子生徒は特に、この扁桃体が敏感に反応しやすく、「否定された」と感じると心を閉ざしてしまうことがあります。

 

しかし、安心できる言葉や表情が先にあると、前頭前野が「これは攻撃ではない」と判断し、話を受け止める準備が整います。

 

“先に心のクッションを置く”――それが、教育現場におけるフライングハグです。

 

 

◾️声紋分析から見えたこと

M先生の声紋分析では、「聴感覚(イエロー〜ターコイズ)」が優位で、「相手軸(ターコイズ)」が強く出ていました。

・聴感覚(イエロー〜ターコイズ):対話・共感・協調を大切にする傾向。相手の声や空気に敏感。

・相手軸(ターコイズ):目の前の相手のために行動するタイプ。“あなたのために”が原動力。

この組み合わせを持つ人は、人の気持ちに寄り添う力が高い一方で、自分を後回しにしてしまうこともあります。

 

M先生もまさに、生徒を大切に思うあまり、自分の感情や伝え方のバランスを崩してしまっていたのです。

 

だからこそ、「伝える前にあたためる」意識が、指導をやわらかく、そして深く届ける鍵となりました。

 

◾️セルフケアの提案

① U-LaLa446 呼吸法(落ち着きの呼吸)

やり方:背筋を伸ばし、鼻から4秒吸う → 4秒止める → 口から6秒吐くを5分繰り返す。

効果:副交感神経を高め、不安やストレスを鎮め、心拍・血圧を安定させる。

備考:丹羽真一, 2019, 福島県立医科大学/Nivethitha et al., 2016, J Clin Diagn Res

 

② ひと呼吸メッセージ(フライングハグ実践)

やり方:生徒に伝える前に、安心の一言を添える。

・「ちょっとだけ話していいかな。怒ってるわけじゃないよ」

・「まず、最近すごく頑張ってるのは伝わってるよ」

・「今の話は、あなたを責めたいんじゃなくて、一緒に考えたくて言ってるんだ」

効果:生徒の受け止めモードを整え、関係性を保ちながら伝える力を高める。

備考:Roger, C.R., 1951, "Client-Centered Therapy"/中島義明, 2018, 『感情心理学』有斐閣

 

 

◾️M先生の声

「前は、強く言ってしまったあとに後悔することが多かったです」

「今は、“まず安心を渡す”と決めてから、言葉のトーンも自然と変わってきました」

「伝えるって、内容だけじゃなくて“温度”なんだって実感しています」

 

 

◾️カウンセラー視点 M先生は、声紋分析を通じて“感受性の高さ”を資質として受け入れ、

「言いすぎてしまう自分」を責めるよりも、整えて伝える工夫へと自然に変化されました。

 

教育現場にこそ必要な「先に安心を届ける力」が、着実に育っています。

 

 

◾️まとめ 「ちゃんと受け止めてもらえた」

生徒がそう感じられる瞬間が、信頼を築く第一歩になります。

 

フライングハグとは、伝える前に“心でハグする”ようなやさしさ。

 

それは、言葉以上に届く教育のカタチかもしれません。

 

 

◾️U-LaLa カウンセリング案内

・U-LaLa(うらら)では、心理学・脳科学・声紋分析を組み合わせたやさしいカウンセリングを提供しています。

・2025年8月より一般社団法人 日本認知・行動療法学会(CBT学会)会員として活動を開始。最新エビデンスに基づく認知行動療法(CBT)を中心とした支援体制を強化し、“根本改善”を加速します。

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・初回は無料でご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

 

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