管理職になって部下を育てるノウハウ本を読み漁っても身にならない。その前に自分を知れ! #254
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言いたいことがあるのに、うまく言葉にできない。
部下にはちゃんと伝えたい。でも、頭の中がぐるぐるして、言葉が出てこない……。
これは、実は多くの人が経験している「感情の言語化ストップ」という状態です。
特に責任ある立場にある方ほど、「ちゃんと話さなきゃ」と思うほどに、言葉が出なくなってしまうことがあります。
今回は、課長職に抜擢されたLさんのエピソードから、「言葉が出ない」背景にある脳の働きと、
カウンセラーとの会話を通じた変化のプロセスを見ていきましょう。
◾️相談者事例
Lさん(男性・38歳)は、若くして課長職に就任。部下は20名、年上の部下も多く、日々のマネジメントに奔走しています。
「うまく言葉にできなくて……」
そう語るLさんは、指示を出す場面やフィードバックのタイミングで言葉が詰まり、会議中もモヤモヤした感覚を抱えていました。
「何をどう伝えればいいか、頭ではわかっているつもりなんですが……」と苦笑い。
Lさんは最初、「とにかく何を言えばいいか、言葉が出てこない」とだけ話していました。
けれどカウンセラーとの対話を重ねる中で、「そもそも何が不安なのか」「どうなりたいのか」を一緒に整理していきました。
話すうちに、Lさん自身が「正解を言おうとしていたこと」や「部下に良く思われたい気持ち」が強くなりすぎていたことに、自分で気づき始めたのです。
◾️心理学の解説
この状態は、心理学では「自己効力感の低下」と関係があります。
自己効力感とは、「自分はうまくできる」という自信のような感覚のこと。
Lさんは実は、「自分は上司としての役割をうまく果たせていないのでは」という不安が強く、その不安が言葉を妨げる要因になっていました。
また、言葉が出ない体験を繰り返すと、「どうせまた詰まる」という予期不安が積み重なり、これが“学習性無力感”に発展することもあります。
カウンセリングでは、Lさんが「どんな自分になりたいか」を明確にし、小さなステップで行動を積み重ねていくサポートをしました。
◾️脳科学の解説
言葉が出てこないとき、脳の中では“前頭前野”と“扁桃体”のやりとりが活発になっています。
前頭前野は、思考と言語、計画の司令塔。
一方、扁桃体は不安や恐れに反応する「警報装置」のような役割を持ちます。
Lさんのように「上司として失敗できない」と感じていると、扁桃体が過剰に反応し、前頭前野の働きを一時的に妨げてしまうのです。
これにより、言葉の組み立てがうまくいかず、「頭が真っ白」な状態に。
セルフケアと対話を通して、脳の過緊張を和らげることが第一歩となりました。
◾️声紋分析から見えた傾向
Lさんの声紋には、以下のような特徴がありました。
・判断基準:視感覚(ブルー〜マゼンタ)
・行動基準:社会軸(マゼンタ)
視感覚が強い方は、頭の中で「きちんと整理されていないと話せない」傾向があります。
加えて社会軸が強いと、「みんなのために間違ってはいけない」という責任感が強くなりすぎることがあります。
そのため、Lさんは「言葉を発する前に、完璧な構成を頭の中で作ろうとする」傾向があり、それが結果的に言葉を止めてしまっていたのです。
カウンセリングでは、Lさんが「相手に100点の説明をしなくてもいい」と自分に許すことができるようになったのも、大きな転機でした。
◾️セルフケアの提案
① U-LaLa446 呼吸法(落ち着きの呼吸)
やり方:背筋を伸ばし、鼻から4秒吸う → 4秒止める → 口から6秒吐くを5分繰り返す。
効果:副交感神経を高め、不安やストレスを鎮め、心拍・血圧を安定させる。
備考:丹羽真一, 2019, 福島県立医科大学/Nivethitha et al., 2016, J Clin Diagn Res
② 感情ラベリング
やり方:今の気持ちを「単語」で表現してみる(例:「焦り」「不安」「もやもや」など)。
効果:言葉にすることで、扁桃体の過活動を抑え、前頭前野の働きが回復する。
備考:Lieberman et al., 2007, Psychological Science
③ “小さな成功”メモ(3つのよかったこと日記)
やり方:寝る前に今日「できたこと・よかったこと」を3つノートに書き、その理由をひと言添える。
効果:小さな達成感の積み重ねで自己効力感を高め、幸福感が持続、抑うつ症状を軽減。
備考:島井哲志, 2010, 関西学院大学/Seligman et al., 2005, American Psychologist
◾️クライエントさんの声
最初は「ただ話せないだけ」だと思っていました。
でもカウンセラーとの対話で、自分がどうなりたいのかを整理し、今の自分が感じていることと向き合うようになりました。
少しずつですが、自分の中で考えが整理できて、「何を伝えたいか」が見えてくる感覚が出てきました。
◾️カウンセラー視点
Lさんは「自分の言葉で伝えたい」とずっと思っていた方でした。
でもその背景には、「上司として正しくあらねば」という無意識のプレッシャーが強くあったように感じます。
呼吸を整えること、感情に名前をつけること。そして対話を通じて「まず自分を整えることが、伝える力につながる」とLさん自身が気づいたこと。
それが、変化のきっかけになりました。
◾️まとめ
「うまく言葉にできない」のは、あなたのせいではありません。
それは脳が“がんばりすぎている”サインかもしれません。
まずは、深呼吸ひとつから。感情を言葉にする力は、トレーニングで少しずつ育てていくことができます。
セルフケアを取り入れることで、頭と心の整理がしやすくなり、「何を伝えたいのか」が自然と見えてくるようになります。
結果として、言葉に詰まる場面が減り、自分らしく相手に向き合える感覚が戻ってくるはずです。
そして、そのプロセスを一緒に歩む対話の場があること。
それがカウンセリングの価値でもあります。
◾️U-LaLa カウンセリング案内
・U-LaLa(うらら)では、心理学・脳科学・声紋分析を組み合わせたやさしいカウンセリングを提供しています。
・2025年8月より一般社団法人 日本認知・行動療法学会(CBT学会)会員として活動を開始。
最新エビデンスに基づく認知行動療法(CBT)を中心とした支援体制を強化し、“根本改善”を加速します。
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