夫は“いいパパ”だけど、“わかってくれない人”でもある ― 夫婦関係に必要なのは「伝え方」ではなく「心の視点」かもしれません
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夫婦・恋愛のトラブル
初めての方
「ちゃんとやってくれてる。わかってる。でも、わかってくれてはいない」
そんな気持ちを抱えたまま、日常の中で言葉を飲み込んでいませんか?
夫は子どもの面倒も見てくれるし、家事もある程度は分担してくれる。
いわゆる“いいパパ”。でも、ふとした瞬間に「この人、私の気持ちは見えてないな」と感じる。
このブログでは、32歳・専業主婦のSさんの体験をもとに、
夫婦関係にひそむ「すれ違いの正体」と「伝え方では変わらなかった理由」、
そしてカウンセリングで見えてきた“心の視点”についてご紹介します。
◾️相談者事例
Sさん(32歳・専業主婦)は、3歳の息子さんを育てながら、夫と二人三脚の子育て中。
ご主人は仕事が忙しい中でも、帰宅後に子どもと遊んでくれたり、 土日は買い物に付き合ってくれる「外から見ると理想的なパパ」でした。
でも、Sさんの心にはずっとモヤモヤがありました。
・子どもの夜泣きで眠れなかった日の朝、「今日は洗濯お願い」と言われて涙が出そうになった
・「疲れた」と口にすると「みんなそうだよ」「俺だってさ」と返される
・話を聞いてもらおうとしても、最後はアドバイスで終わってしまう
「私の気持ちには興味がないんだろうな」と思うと、 話すことも減り、自然と心の距離ができていったそうです。
◾️心理学の視点から見る「すれ違い」
このような状態では、自己効力感(=自分には意味がある・できるという感覚)が 少しずつ低下してしまうことがあります。
特に育児中は「報われない努力」や「終わりのないタスク」が重なりやすく、 小さな否定が積み重なることで「学習性無力感」(=どうせ伝えても変わらない)が 心に染みついてしまうのです。
夫婦の会話が減るのは“コミュニケーション不足”ではなく、
「がんばって伝えても、受け止めてもらえなかった経験」が原因の場合も多いのです。
◾️脳科学の視点:共感がないと、脳は“緊急モード”に入る
心が傷つくとき、脳では扁桃体(へんとうたい)が反応します。
ここは“脳の警報装置”と呼ばれ、怒り・恐怖・不安などの反応を引き起こします。
Sさんのように、「わかってほしいけど、伝わらない」経験を繰り返すと、
この扁桃体が敏感になり、前頭前野(冷静さや論理をつかさどる部分)の働きが弱まり、 感情が爆発しやすくなったり、逆に何も感じない“麻痺状態”になることもあります。
つまり、共感のない会話は、脳にとって「脅威」として受け取られやすく、 夫婦の関係にも無意識の“緊張”が生まれてしまうのです。
◾️声紋分析で見えた「Sさんの感じ方のクセ」
Sさんの声紋を分析すると、聴感覚(イエロー〜ターコイズ)の帯域が優位で、
「相手の言葉や雰囲気」にとても敏感であることが分かりました。
また、相手軸(ターコイズ)の傾向が強く、 「相手の期待に応えたい」「ちゃんとやらなきゃ」と自分を後回しにしやすいタイプです。
この組み合わせは、日常の“ちょっとしたひと言”でも深く反応しやすく、 相手に共感されないと「私はひとりぼっちなんだ」と感じてしまう傾向があります。
◾️セルフケアの提案
① U-LaLa446 呼吸法(落ち着きの呼吸)
やり方:背筋を伸ばし、鼻から4秒吸う → 4秒止める → 口から6秒吐くを5分繰り返す。
効果:副交感神経を高め、不安やストレスを鎮め、心拍・血圧を安定させる。
備考:丹羽真一, 2019, 福島県立医科大学/Nivethitha et al., 2016, J Clin Diagn Res
② “小さな成功”メモ(3つのよかったこと日記)
やり方:寝る前に今日「できたこと・よかったこと」を3つノートに書き、その理由をひと言添える。
効果:小さな達成感の積み重ねで自己効力感を高め、幸福感が持続、抑うつ症状を軽減。
備考:島井哲志, 2010, 関西学院大学/Seligman et al., 2005, American Psychologist
◾️Sさんの声
正直、自分がこんなに疲れてたって気づけなかったです。
呼吸と“よかったことメモ”を毎日続けたら、だんだん気持ちが落ち着いてきて、 朝起きたときに少しだけ気持ちが軽くなってきました。
呼吸を意識しただけで、頭の中のモヤが少し晴れた気がしました。
「自分はずっと頑張りっぱなしだった」って、ようやく気づけた感じです。
そして、「夫がわかってくれない」と感じるたびに、 私は“わかってもらうこと”を無意識に正解だと思い込んでいたと気づきました。
今は、「まず自分がどう感じているか」「何を大切にしたいのか」に目を向けるようにしています。
「イライラしたら深呼吸して、その感情を“ただあるもの”として受け止めてみる」とか、
「夫の言葉にモヤっとしたら、“私は何を求めてたんだろう”とノートに書いてみる」など、
小さな習慣で“心の持ち方”を整えることを意識しています。
相手に変わってもらうより、自分の気持ちを観察して整えることのほうが、 ずっと自分を楽にしてくれることに気づけました。
◾️カウンセラー視点
Sさんはずっと「ちゃんとやらなきゃ」「私が我慢すれば」と、 自分の感情にブレーキをかけていた印象がありました。
で
も、呼吸と日記というシンプルな習慣を通じて、 “私を見ていいんだ”という心の余白が生まれてきたように感じます。
心の持ち方を整えるというのは、 「感じたことに○×をつけずに、いったんそのまま受け止めること」。
そして心の視点とは、 「相手の反応ばかりを見つめるのではなく、 自分の“本音”や“今の状態”に目を向けること」だと、私たちは考えています。
夫婦関係の悩みは、言い方や努力の問題ではなく、 こうした“内側の視点”が少しずつ整っていくことで、自然に変化が起きていきます。
◾️まとめ
夫婦関係の“伝え方”に悩んでいるとき、
本当に必要なのは「相手を変えること」ではなく、 まず「自分の心の視点」を整えることかもしれません。
たとえすぐには分かり合えなくても、 あなたの気持ちは“意味のある感情”として、ちゃんと存在しています。
その小さな声に、まずあなた自身が耳を傾けてあげてください。
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